波高分析器の製作(1)

 別名「マルチチャンネルアナライザ」。入力されたアナログ信号の波高値を記録し、ヒストグラムで表示する測定器で、放射線のエネルギー分布の測定に用いられます。

例:MCA-7a セイコー・イージーアンドジー株式会社

原理

 波高分析の簡単な流れを下図に示します。オシロスコープで信号を観測すると色々な高さの山が見えますが、この波形を一定時間で区切った中の最大の電圧(山)を波高値といいます。

 図の波形では4Vの山が1個、3Vの山が4個、2Vの山が2個ありますので、これらをヒストグラムにすることで波高分析結果を得ます。

 それでは、このような動作に必要な要素は何でしょうか?ブロック図を下に示します。
 ピーク検出部はレジスタ、コンパレータ、マルチプレクサを用いて構成します。直前の電圧と今の電圧を比較して、高い方を出力する処理を繰り返せば波高値が出ます。

 大事なのはこのピーク検出部と前段のAD変換で、アナログ電圧とその波高値を正確かつ高速に処理する必要があります。今回は最大1MHzの信号の波高値を1mV刻みで分析したいので、AD変換器のサンプリング周期は最低でもその2倍(2MSpS)、となると部品の性能を吟味せずにホイホイ作った場合思うような精度は出ないでしょう。

 後はどのブロックをマイコンに処理させるか?これは後で決めます。要求されるサンプリング周期的にAD変換からやらせるのはまあまあキツそうです。

仕様

 とりあえずこれだけは欲しい!という項目だけ。

【入力信号】

  • 分析電圧範囲
    0V~16.384V
  • パルス幅
    1μ~

【測定】

  • 測定時間
    自動:10秒、30秒、1分、5分、10分、15分、25分
    手動:使用者が測定を停止するまでの間

【分析】

  • 分解能
    1mV
  • ch数
    256
  • 電圧幅
    最大16384mV

【表示方法】

  • 分析結果
    リアルタイムにヒストグラムで表示
  • 度数軸
    リニアまたは対数

次回から仕様をもう少し詰めつつ回路設計に入ろうかなと。
続く

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